設計のポイント

SOLVED BY BOX

ボックス設計の難しさ

温度を決定する要因

実際に断熱ボックスを設計し、内部の温度を必要な時間、必要な温度に保つのは簡単なことではありません。なぜなら、ボックス内部の温度には、外気温や使用する断熱材の種類・厚み、そして投入するPCM(保冷剤・蓄熱剤)の種類・量・置き方・初期温度など、多岐にわたる温度決定の要因が存在するからです。

温度を決定する要因

断熱材の選定

一口に断熱材といっても、実はたくさんの種類があり、それぞれ特徴や性能が異なります。代表的なものをいくつか上げますと、最も優れた断熱性能を持つ真空断熱材(VIP)や、いわゆる発泡スチロール(EPS)、発泡ウレタン、押し出し発砲ポリスチレン(XPS)などがあります。

熱伝導率

断熱材の性能を現す指標に熱伝導率(単位=W/m・k)というものがあります。この熱伝導率は物質ごとにことなり、数値が小さければ小さいほど断熱性能に優れていることを表します。ボックス設計においては、温度キープ時間や外気温と内気温の差などを考慮しながら、最適な性能の断熱材を選択しなければなりません。

熱伝導率

断熱材の厚み

断熱性能は熱伝導率だけで決定されるわけではありません。断熱材の厚みも重要なファクターになります。
熱抵抗値(R:m2・K/W)もそのひとつです。熱抵抗値は熱の通りにくさを表す数値であり、材料の厚み(d)(m)÷材料の熱伝導率(λ)( W/m・ k )で計算できます。 
たとえば

  • ①XPS25mmの場合、熱抵抗値はR=0.025÷0.028≒0.89(m2・KW)となります。
  • ②EPS50mmの場合、熱抵抗値はR=0.05÷0.04≒1.25(m2・KW)となります。

熱抵抗値は数値が大きいほど断熱性能が高いということになります。前述の例のように、熱伝導率が劣っていても、厚みを大きくすることで、より高い断熱性能を発揮させることも出来ます。ボックスの設計においては断熱材の種類だけでなく、どのような厚みで使用するのかも考えなければなりません。

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外装材の選定

ボックスを設計する際には、輸送環境を考慮したうえでボックスの外装材を選択しなければなりません。
例えば、仕向け地が海外なのか、国内なのか、航空機輸送なのか船舶輸送なのかで選択の基準が変わります、あるいはチャーター便なのか混載便なのか、ハンドキャリーで人が持ち運びするのかなどです。混載便であれば、外部からの衝撃を受けたとしても、保冷性能に影響が出ないような、強度を持った素材を選択するべきだし、ハンドキャリーであれば、出来るだけ軽量で持ち運びしやすい素材を選択するべきです。
このように貨物の輸送環境も保冷ボックスを設計する上で重要です。

保冷剤・蓄熱剤の選定

保冷剤・蓄熱剤の選定とは、融点、必要量、ボックス内の配置、使用初期温度の4点を決めることを意味します。融点は、キープさせたいボックス内温度付近にあるものを選び、必要量はキープさせたい時間に比例させます。また、使用初期温度については、外気温が高い場合、保冷剤・蓄熱剤は固体状態から使うべきなので、融点以下に設定します。逆に、外気温が低い場合、保冷剤・蓄熱剤は液体状態から使うべきなので、初期温度は融点以上に設定する必要があります。

外気温が高い場合

PCMが融点で固体から液体に相変化し、周囲の熱を吸収する(吸熱)

外気温が高い場合

外気温が低い場合

PCMが融点で液体から固体に相変化し、周囲に熱を放出する(放熱)

外気温が低い場合

具体的にボックスのスペック、保冷剤・蓄熱剤の選定にあたっては、複雑な計算によって求められます。ワコンでは、無料で温度設計を行うサービスを提供していますので、お気軽にご相談ください。

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